所十三の「恐竜漫画描いてます」

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help リーダーに追加 RSS カメのきた道

<<   作成日時 : 2007/10/30 05:26   >>

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恐れ多くも、世界最古の海亀サンタナケリスを記載し、業界では「亀仙人」とも呼ばれる平山廉先生から、最近先生が上梓された『カメのきた道-甲羅に秘められた2億年の生命進化-』(NHKブックス)を送って頂きました。何とお礼を申し上げて良いやら。とりあえず、こちらで本のご紹介だけでも…と。

昨日届いたばかりで、まだ読み始めたばかりなんですが、これがホントに面白い!カメという極めて特殊な生物の進化の歴史が面白くないわけがない。少しでも古生物に興味のある方なら是非!って感じですね。ボクももう一冊ちゃんと買います!

いつも思うんですが、平山先生の本って、一般の読者への配慮が行き届いていて、活字の苦手なボクでも入り込みやすいんですよね。いや先が楽しみです。仕事のスケジュールに影響しないと良いんですが…(笑)。




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原始的なウミガメ、プロトステガの骨格レプ(福井県立恐竜博物館)






前々から先生にお伺いしたいと思いながら、いつも別の楽しい話題をふられて、なかなか訊けずにいた疑問があるんですが、それについて何か書かれていないか?と目次を頼りに「謎だらけの起源」という章の「カメの甲羅はなぜできた」という一説をまず読みました。

実は、ボクの疑問はこの甲羅のできた理由なんです。一般的には「甲羅は体を守るため」…となるわけで、それはそれで「甲羅が発達した理由」として、その通りだとは思うんですが、でも、「甲羅が生まれた理由」はもしかしたら、水圧と関係があるんじゃないか?…っていう疑問をかなり前から抱えているんです。

きっかけは、古生代の大型両生類の肋骨がやけに幅広で、おまけに鳥のような鈎状突起までついてるのを見た時でした。「これって水圧から内臓を守るためのものかなぁ?」なんて漠然と感じたんです。

…でその後、カナダのロイヤル・ティレル博物館で首の短いタイプのクビナガリュウの腹がやたら頑丈に胸骨や腹肋骨で覆われてるのを見て「これも、もしかして水圧対策?」と考えてたら、ツーソンでスゴく保存状態の良いチャンプソサウルスの化石が出てて、こいつがまたビックリするほど腹肋骨が発達してたんです。細い腹肋骨を編み込んだ甲羅みたいに…。

そういえばカメとは関係ないプラコドゥスみたいな板歯類も甲羅を持つ水棲爬虫類です。

もしかしたら甲羅の起源は、もともと水圧から内臓を守るための箱だったんじゃないのかな?なんて思えて来たんですよね。

じゃ、もしかして、デスマトスクスみたいなアエトサウルス類も祖先は水棲生物だったりして…なんて考えたのが『DINO2』を描き始めた頃。

でも当時丁度、取材という形で伺った先生のご自宅で、最古のカメと言われていたプロガノケリスは完全な陸生動物だという話を聞いて「あれ?やっぱ違うのかな?」と…それでも一応「プロガノケリスの甲羅って平たくてあんまり現生のリクガメに似てませんよね?」と尋ねたら「パンケーキリクガメみたいに平べったいリクガメもいるよ。」と言われて、さすがに素人の思いつきを話せる状況じゃなくなりました。

専門家に言わせれば馬鹿げた話という事になるかもしれません。水棲生物でも、ワニの肋骨や腹肋骨が発達してるなんて話は聞かないし、カエルなんか肋骨自体が殆どありませんから。

でもワニには堅い鱗板があるし、カエルだって肋骨が無い事自体、なんか水圧と関係がありそうで怪しい…なんて根拠のない妄想まで湧いて来たり…(笑)。




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岐阜県高山市荘川で見つかった白亜紀前期のシンチャンケリス類の骨格レプ。『カメのきた道』115ページにも出てくる素晴らしい保存状態のカメ化石です。よく見ると甲羅の上に完全な頭骨が乗ってるのがわかります。





結果として、先生の本の中では、プロガノケリスの段階でもう完全なカメになってるのでその前の進化は今後の研究を待つしかない…といった形でまとめられていたのでボクの疑問は疑問のまま。もしかしたらプロガノケリスが陸の生活に適応する前に水の中で甲羅の原型を獲得したカメの祖先がいたかも…なんてね。

取材当時はまだ、平山先生とお会いしてまもなくの頃だったので、今ほど図々しくお話する勇気もなかったんですが、今はもう先生が素人の戯言にも笑ってつきあって下さる方だとわかってるので近いうちに是非。

ちなみに表紙カバーは白地にホシガメ模様のメイオラニア。絵は、中のカラーイラストや挿絵も含め、そのほとんどがお馴染み小田隆さんの筆によるものです。







オマケは獣脚類の頭骨の続きでケラトサウルスを

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ケラトサウルスの頭骨レプ(いわき市石炭化石館)

これが模式標本だったっけ?




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ケラトサウルスの亜成体の頭骨本物。(ツーソンショー)

最近あちこちの恐竜展で見かけるちょっと小型のケラトサウルスが、この標本の全身骨格レプリカです。



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上の標本の全身骨格がどの程度見つかってるのかを示した図です。

赤い部分が見つかった部位。恐竜展に展示されてる全身骨格レプや、それを元にした生体復元模型の腕がやけに大きくてカッコ良いのは、見つかってないから、適当なサイズに勝手に創っちゃってるからです。


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コメント(13件)

内 容 ニックネーム/日時
これは良さそうな本ですね。地方でも週末には入荷するかな?
亀の起源についてですが、分子生物学で主竜類に近い可能性が高いそうですね。この話を聞いたとき、「いっそトリケラトプスと現生鳥類の最も新しい共通祖先より鳥盤類に近かったら面白いのに」などと考えたのは今思うとやりすぎだったなあ・・・
モルモル
2007/10/30 21:36
いろいろと書店を見て回っては見たのですが残念なことにかなり大きい所でも見つけられませんでした。都心の大規模書店にでも行かないと無理ですかね。

昔の本を読んでも最古のカメはずっとプロガノケリスのままになっていますよね。彼等の誕生の謎が解き明かされるのは果たしていつの日か。

>カメの甲羅

逆にほぼ完全に水棲であるスッポンは甲羅が柔らかくなっているんだけど...などという事が頭に浮かんでしまったのですが、スッポンの肋骨の造りはわかりますか?

>プロトステガ

初めて骨格を拝見しましたがこれほど頭が大きく、また目が発達していたとは。生きていたときは魚類や頭足類を積極的に追い回していたのでしょうか。
古生物大好き
2007/10/31 22:44
この間池袋の本屋で見ました、今度購入したいと思います。

カメの甲羅と言えばアルケロンを見ると甲羅ではないんですね、前友人に「アルケロンの甲羅ってなんで穴空いてるの?」と聞かれ答えられなかったのですが、所先生はおわかりですか?

カメの祖先はスクトサウルスの仲間だと前は言われていましたが今は結局どうなんでしょう?
夜月十五夜
2007/11/01 08:51
そもそも亀の起源というのは陸生なのか水生なのかですね?
水生起源だとすると水圧対策もなるほどと思いますが、元々陸生だったとなると防御力を極限まで高めた結果運動能力が犠牲になり、昔の竜脚類説みたくなりますが浮力で楽に動ける半水棲生活に移行したと見るほうが自然な感じもします。
生息域も沼沢地や河等の比較的浅い場所ばかりですしね。
そしてより水中に適応して泳ぎに特化したのがウミガメ。しかし完全に陸から離れることもかなわず産卵の際には生まれ故郷の砂浜にかろうじて歩けるヒレ脚で移動し穴を掘って産卵せざるをえない。
なんだか水から離れられない両生類と逆に陸から完全に離別できない道を選んだのが彼らのような気がしてきました。

アルケロンのような巨大種になるとさすがに産卵時の陸地移動に無理があるのと、体の大きさでもはや敵らしい敵もいないので軽量化に走ったというのが妥当なところでしょうか?
そういえばスッポンの骨格とアルケロンの骨格の穴あき加減がなんとなく似てるような?
K−1
2007/11/02 01:33
>モルモルさん

恐竜に含める企ては無理としても、主竜類には含まれそうですね。


>古生物大好きさん

この本によると2005年に最古のカメが三畳紀中期の地層から見つかったとか…ただ、かなり断片的な化石だったようです。

スッポンは表面に鱗板は無いものの、甲羅の縁側以外にはちゃんと堅い甲板があります。

謎なのは深海1200メートルまで潜るというオサガメの甲羅が、薄い肋骨が申し訳程度にあるだけで。鱗板どころか甲板も無く、ゴムのような弾力性のある皮膚が張られているだけってことですね。

これってクラゲみたいな水圧対策?…でも、そんなマネが爬虫類にできるんでしょうか?

どなたかご存知ですか?
所 十三
2007/11/02 03:27
>夜月さん

アルケロンだけじゃなく、大なり小なり、甲羅の甲板(肋骨と癒合してる骨組み)に隙間のあるカメはたくさんいますよ。

写真のプロトステガもその一つ。

スッポンもある意味その隙間から外側がほとん無くなっちゃった状態なんじゃないでしょうか?

遊泳能力を優先させた結果、甲羅を軽くする方向に進化した…という考え方があるようです。

この本の中にも、時速24キロで泳ぐオサガメは甲羅から甲板を無くすことで軽量化を図ってる…みたいな事が書いてあったかと思います。


スクトサウルスのようなパレイアサウルス類とカメが何の関係も無いことが、この本に詳しく書いてあったかと思いますので、まずはご購読をお勧めします。
所 十三
2007/11/02 03:49
>K-1さん
>防御力を極限まで高めた結果運動能力が犠牲になり、昔の竜脚類説みたくなりますが浮力で楽に動ける半水棲生活に移行した…

はい。もちろん、それが一般的に支持されてる真っ当な考え方だとは思うんですよ。

でも、水生生物は体幅が広いって原則(もちろん例外はありますが)からいえば、プロガノケリスの幅広で平べったい体型は、陸上で何のために必要なのか思いつかないんです。

パンケーキリクガメは、石の下に潜るためだそうですが、プロガノケリスは体中トゲだらけで、あまり石の下には向きません。

水圧の話にしても、ボクもはじめは、ウミヘビやガラパゴスのウミイグアナも甲羅無しでけっこう深く潜るし…なんて考えたんですが、ヘビはかなり細かな肋骨が密に、丸い胴体(圧力に強い)に詰まってるからかなりの水圧に耐えそうだし、ウミイグアナは長時間海底にいるわけじゃないし…ところでヌマガメとかってどのくらい深く潜るんだろ?…なんて結論の出ない自問自答を繰り返すうち、専門家のご意見を伺った方が早いかな…という結論に至ったというわけなんです。

所 十三
2007/11/02 04:23
無事入手できました。恐竜に含めるのは無しとしても何とかカメの原型となる動物の化石が見つかってほしいですね。

オサガメの奇妙な骨格のとですが、依然聞いた話にウミガメは潜水するときに肺の空気を吐き出して体の比重を海水よりやや小さい程度に調節しているのだそうです。これからするととび抜けて深く潜るオサガメの場合は「潜水病の原因となる肺の中の空気を極力吐き出した状態で体の比重が海水よりやや小さくなるように比重の大きい硬骨を減らす」進化をしたのではないでしょうか?
でも肺の空気を抜いた状態のオサガメの比重を計るのは大事でしょうね。
モルモル
2007/11/04 19:21
液体と固体の圧力による体積変化は事実上無視しうるので、肺以外の内臓は圧力に抗して固い箱に収める必要はありません。例えば、水で満たした風船を海に沈めてもまったく変化はありません。肺にしても、体積変化を許す柔らかい構造ならまず問題はありません。だいいち、肺を体積変化できないようにしてしまったら呼吸できませんからね。

例えば、空気を一杯に吸い込んだときの肺の体積が肺の収縮限界の5倍であれば、現代の大気圧では海面下約40m(5気圧)までの潜水に問題はありません。淡水ならもう少し深く潜れます。
kurt
2007/11/05 16:14
申し訳ありません、上のコメントは大変な勘違いによるものでした。
「肺の空気を吐き出して比重を調節して潜水する」ではなく、「水圧で肺が圧縮され、海水とほぼ同じ比重となる水深に留まる」でした。しかもこれが産卵期のアカウミガメのメスの話でそれ以外の時期はどうなのか不明というものでした。
これからは資料は確認してからコメントしますので、ご容赦ください。
モルモル
2007/11/05 20:42
>kurt先生

なるほど。情報ありがとうございました。

肺の空気を吐き出しさえすれば、水圧を気にする必要は無い…ということですね。

でも、それでは水棲爬虫類の肋骨や腹肋骨が発達してる理由って何なんでしょう?魚竜とかも丸いからだに沢山の肋骨を並べたヤツが多いような気もしますし…。

それはともかく、海に潜ってる間、血液中の酸素だけで済むってスゴい省エネですよね。


>モルモルさん

情報有り難うございました。

ちょっと前に仕入れた知識だと、勘違いとか思い込みって、よくありますよね。

ボクも『ユタ』の単行本5巻にオマケで書いた情報に勘違いを発見して、6巻で訂正させて頂くことになってます。ルーフェンゴサウルスの記載者である楊鐘健先生の中国読みがヤン・シージンだと思い込んでたら、「シージン」というのはクンミンゴサウルスの記載者、趙喜進先生の中国読みでした。

下手こいた〜!
所 十三
2007/11/08 14:15
ちょっと誤解があるかもしれないので、念のため書いておきますと「肺の空気を吐き出しさえすれば、水圧を気にする必要は無い」ではなくて、空気を吐き出さなくても潜水すれば水圧で肺は縮むので、その体積変化に耐えうる柔軟な体の構造であれば問題ないということです。息を吐いて潜水すると肺はもっと小さくなるので、肺を過収縮から守るには吐かないほうが得策です。
kurt
2007/11/08 16:37
魚竜やケイチョウサウルス以外の水生爬虫類の肋骨はどんなものかよく知らないのですが、魚竜の細くて数の多い肋骨はもしかしたら体積変化に耐えうる柔軟性と関係があるかもしれませんね。

でもケイチョウサウルスはそれほど深く潜ったとは思えないし、肋骨の数の多さはむしろしなやかに胴体をくねらせて泳ぐために脊椎の数が増えた結果という説はどうですか?腹肋骨についてはこう考えてみました。多数の針金の輪とビニールの膜で作った円筒形の蛇腹を考えます。もし針金の骨格が上半分しかないC字型のものだったら蛇腹を曲げたとき下半分がしなやかに曲がらず妙な皺や折れ目ができ、水の抵抗を増すのではないでしょうか。

丸々と太ったマグロのような体型のオフタルモサウルスなどでは胴体はほとんどくねらせなかったでしょうが、もっと細長くて体をくねらせて泳いだ祖先から受け継いだ形質なのかも。これは研究者ではなくアマチュア古生物ファンとしての単なる思いつきですので、いいかげんで止めておきます。
kurt
2007/11/08 16:38

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