所十三の「恐竜漫画描いてます」

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help リーダーに追加 RSS 第128回化石研究会例会 ーその2−

<<   作成日時 : 2007/11/20 03:38   >>

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前回のお話の続きを…。

林原自然科学博物館の鈴木茂先生からは、モンゴルでの発掘調査について詳しいご報告がありました。

数々の発掘成果の中で、個人的にはタルボサウルスの亜成体の写真に目を奪われました。

以前、「デイノニクスのようなタルボサウルスの頭骨」としてご紹介した下の写真の標本とそっくりの顔をした亜成体の全身骨格が林原の調査隊の手によって発掘されていたんです。


画像
ミネラルショーに出品されたタルボサウルスの亜成体頭骨レプリカ




これがまた奇麗な標本で、尻尾の先と、なぜか頸部の骨が失われている他はほとんど完璧!小さな前足もたぶん末節骨まで全部揃ってるんじゃないかなぁ?

それにしてもホントに前足が小さい。原始的な形質を残す事が多い亜成体にしてこの前足の小ささは驚きでした。実はボクは、ティランノサウルスもタルボサウルスも、子供のうちは比較的大きな(原始的な)前足をしていたんじゃないか?って想像してたんです。鼻の尖った顔立ちも、原始的なティランノサウルス類たちとはあまり似てません。

『ユタ』に登場するナノティランヌスの幼体(ナノチビ)をデザインする時、ディロングやエオティランヌスみたいな原始的なティランノサウルス類を参考にしたのは、ちょっと失敗だったかもしれませんね?

ティランノサウルス類に共通する小さな前上顎骨歯に見合った尖った鼻先(小さな前上顎骨)にしても良かったのかもしれませんね。小さな歯は、当然歯根も短く、尖った鼻先の狭い前上顎骨にも、充分納まるはずですから。

でも骨の形と皮膚を被せた形が多少違っていてもおかしくはないから、まぁ許容範囲かな?…と、あくまで都合のいい漫画家でした(笑)。

ところで、気づいてる方もいらっしゃるかと思いますが、ナノチビの前足には爪が三つ付いてます。でもあれは指が三本あるのではなく、雛のうちだけ翼に爪が付いてるツメバケイと同じで、成長すると外側の一本が抜け落ちる…という設定です。化石証拠の無い、あくまでボクの想像に基づいた爪なのでご注意下さい(笑)。





さて、講演のトリをかざったのが北海道大学総合博物館の小林快次先生によるオルニトミモサウルス類の系統解析やその食性などについてのお話でした。

最も原始的なオルニトミモサウルス類であるペレカニミムスでは、上下それぞれの顎にあった歯が、まず上顎から失われ、下顎の先端部だけになり、やがて完全に消失して行く過程や、前足の第一指(親指)の角度の変化などによって、この血脈の進化をわかりやすく解説。

食性については、オルニトミモサウルス類の嘴にこまかな溝が無数にあったことから、フラミンゴのように水中の甲殻類やケイ藻を濾しとって食べていた…という、ちょっと前に発表された説が、いかにあり得ない話か…といったお話などを興味深く聞く事ができました。




講演の後、懇親会の席では、丹波の三枝先生に発掘の取材をお願いすることもでき、収穫の多い、まさに充実した一日となりました。

このような貴重な機会を主催して下さった化石研究会と、ホスト役を務められた平山廉先生には、心から感謝申し上げたいと思います。

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コメント(20件)

内 容 ニックネーム/日時
うらやましい限りです。よろしければ「嘴にこまかな溝が無数にある⇒フラミンゴのように水中の甲殻類やケイ藻を濾しとって食べていたはずはない」という部分の論理を教えてください。
kurt
2007/11/21 15:42
タルボサウルス亜成体のほぼ全身骨格、気になりますね。
ティラノよりタルボの方が標本数もあると思っていたのですが
こんな感じで様々な年齢の個体が見つかれば
いつかはプロトケラトプスで良くある幼体〜成体まで並べて標本展示、という形での展示が見られるようにならないかなぁ・・・と。
期待しすぎですかね(笑)
カワタカ
2007/11/22 02:12
>kurt先生

簡単に説明すると、まず、鼻孔の位置。

フラミンゴのように食事中、鼻孔が水の外に出る工夫がされてない。

もう一つはカロリー計算上の無理。

オルニトミムスの体重を濾過食だけで維持するには計算上、一日24時間食事してないと賄えない…とのこと。結果として水棲生物になくてはならない。

…といったことが否定の理由として揚げられるそうです。


>カワタカさん

タルボサウルスは今後かなり期待できますよね。

早く幼体が見つかると良いんですが…。以前タルボサウルスのものとされていた長径60センチにもなる卵はオヴィラプトロサウルス類のものだったとか…。もしかして例の超大型オヴィラプトル(ギガントラプトルとか言いましたっけ?)のでしょうか?
所 十三
2007/11/23 03:06
ああっ!これは俺が一目惚れしたタルボサウルスの亜成体!

うぬ、ぜひお話を聞きたかった。

カリー博士もタルボサウルスの亜成体の頭骨を発見したとき、「ヴェロキラプトルの仲間にそっくりだった」と言っていましたがこれを見た時には感動しましたね、あまりに美しすぎる。まあかと言ってティランノサウルスが群れで狩りを行っていたと言うカリー博士の説には否定的なんですけど。

今年のミネラルショーにも来ないかなあこのタルボサウルス。
夜月十五夜
2007/11/23 09:16
はじめまして、恐竜で検索してました。
ティラノザウルスについてお聞きしたいのです。
最強と云われてる恐竜ですが、
走るのが遅かった。
死骸を食べていた。
転ぶと死んでしまう。
ニワトリと同じ。などカッコ悪いコメントを聞きます。
そこで思ったのですが、
それは陸上でのことで、実はワニのように水の中に潜んで水辺に来た獲物を襲っていたのではないか?
そう考えると、あの体系も有利なのでは?
ハハハ、やっぱり素人考えですね。
関係ないコメントですいませんでした。

kazu
2007/11/23 11:35
>kazuさん

はじめまして。恐竜にご興味のある方ならどなたでも大歓迎です。

「ティラノサウルス(「ザウルス」はドイツ訛り)が水中に潜んで狩りをする…」という仮説が一般的に支持されないのは、ティラノサウルスが水中から攻撃するには無理のある骨格をしている点にあります。

kazuさんも例にあげられたワニの頭の骨を見ると、目と鼻の穴だけを水の上に出して獲物を待ち構えられるような構造になってることがわかります。

でも、T-rexの頭骨からわかる目と鼻の穴の位置は、陸上で生活する動物であることを示しています。

体型も水中に潜むにはワニのように浅瀬でも体を隠せるよう横に平べったい体にする必要がありますが、T-rexは縦長の体型をしているんです。

水中での推進力に欠かせない尻尾も、T-rexは構造上、あまり柔軟性がないことがわかっていますし、もし浮力で体重を支えていたとしたら、前足をあそこまで小さくして軽量化する必要も無かったと思われます。

こういったことから、ティラノサウルスが水中に潜んで狩りをした可能性は低い…というわけなんです。
所 十三
2007/11/24 04:28
>続き

でも、「カッコ悪い」と決めつける必要は無いと思いますよ(笑)。

生きるために危険(狩りも含め)を出来るだけ回避することは、自然界において、なんら格好悪い行為ではありません。むしろ賢い選択です。

死骸の骨をバキバキ割って食べるための太い歯や発達した顎の筋肉は、素晴らしい進化です。

他の恐竜には手の出なかった高カロリー食品である骨髄を食べる能力があったT-rexは、間違いなくその時代の成功者なんです。

実力的に見ても、1対1の闘いだったら、同じ時代に生きていた、どんな狩りが巧い恐竜だってT-rexに勝負を挑むことは無謀だったと思います。

良い例えじゃありませんが、ヤクザ映画の中で、ちょこまか動くチンピラは「カッコ良い」けど、どっしり構えたボスは「カッコ悪い」という人はそんなに多くないんじゃないかなぁ(笑)?


所 十三
2007/11/24 05:07
ありがとうございます。よく分かりました。
kurt
2007/11/26 15:21
ティランノサウルスは大親分ですか。上納金で生きている、と思えば強奪も腐肉食もイメージ低下にはつながりませんね。

その暴君の子供ではないか、と言われているナノティランヌスの「ジェーン」が昨日日テレの「世界丸見え」に登場していました。
バラエティですので期待してはいませんでしたがその割には発掘、クリーニング作業など見せてもらってまあまあでした。
ポールセレノ氏始め、学者さんも複数出たし。
でも「謎の」を強調しすぎて最後まで「わかりません」でお終い。がく!

女装大会や世界のCFなんかと並んでの紹介でしたが無いよりまし!ですよね。もっともその前日にはコモドドラゴンを「恐竜みたい」「まさに恐竜ですね」と言っていた番組を見ましたが。

最後に娘の友人の仰天発言
「恐竜って人間の先祖でしょ!」
おいおい……

いまだに 魚→両生類→爬虫類→哺乳類の進化の梯子的考えが生きているんですね。ちなみにこの彼女、割といい偏差値の大学の学生です。(嗚呼)
ピカイア
2007/11/27 13:43
クジラの祖先は陸上を歩いていたといったら、その場に居合わせた全員が驚き、それに私が驚いたという経験があります。でもクジラは哺乳類ということはみんな知っているんです。分類と進化は結びつけて考えられていないのですね。
kurt
2007/11/27 14:44
>ギガントラプトル
これも気になる恐竜ですね。
今年一番のサプライズでした。
テリジノサウルスもですが、
アジアでは雑食傾向のある獣脚類が大型化しやすかったのでしょうか?
カワタカ
2007/11/27 22:43
>ピカイアさん
>「ジェーン」が昨日日テレの「世界丸見え」に登場していました。

残念!見損ねてしまいました!でも、誰か録画してますよね?恐竜倶楽部のB編集長とか…。


>ピカイアさん
>kurt先生

ボクの場合、常識クイズ番組を見ていて驚くことがよくあります。

一般正解率が高い設問に答えられなくて恥ずかしい思いをするのに、「えっ?こんなの誰でも知ってるでしょ?」って感じる問題が正解率5%くらいの最終問題として出題される不思議。

あれ?もしかしてボク…世間一般と、かなりズレちゃってるの?…って…。

まぁ、別に良いんですけどね(笑)。

所 十三
2007/11/28 05:24
>カワタカさん
>アジアでは雑食傾向のある獣脚類が大型化しやすかったのでしょうか?

面白いですね!ディノケイルスもオルニトミモサウルス類の可能性が高いってこと考えると、やはり大型の雑食獣脚類かもしれません。

角竜雑食説を採るボクとしては、アジアで大型角竜が繁栄しなかった理由として採用したいですね(笑)。
所 十三
2007/11/28 05:34
モンゴルではタルボサウルスの標本は本当によく出るんですよね。別々の研究機関が別々に掘り出すので、なかなかまとまった研究がされていないんですけれど、亜成体というか幼体というか、とにかく未成熟の個体数と標本の質では獣脚類のなかでも群をぬくんじゃないでしょうか。
でも僕にとって個人的に面白いかもしれないと思うのは、タルボサウルスの食性ですね。アルバータ州でティラノサウルス類が見つかる比率に比べたら、堆積環境を考慮にいれてもタルボサウルスは桁外れに数が多いように思えます。子供から大人まで揃って肉食だったら、これは過剰供給気味だなあ、と。
・・・とは言ってもまさか、小さな頃は植物を食べていたなんてことはないでしょうけどね!
歯にふくまれる同位体を調べてみたら面白いかもしれませんね。
ドラゴン
2007/12/01 09:05
>ドラゴン君
>堆積環境を考慮にいれてもタルボサウルスは桁外れに数が多いように思えます。

こいつには、想像される問題点があります。それは以前ドラゴン君も指摘された問題でもありますが…。

モンゴルから海外に出る標本のほとんどが、研究者の発掘したものではなく、化石業者によるものであることを考えると、より商品価値の高い大型獣脚類だからこそより多く流出する…という可能性も考えられるんじゃないでしょうか。

おそらくゴビ砂漠には、見つけられても打ち捨てられてしまう植物食恐竜の化石が山のように(タルボサウルスの標本の何十倍、何百倍も…)あるでしょうから、目に触れる標本の数だけでは、なかなか判断できないと思うんですよね。

盗掘による様々な問題点については、鈴木先生の発表の中でも詳しく取り上げられました。
所 十三
2007/12/01 10:02
>続き

鈴木先生によれば、盗掘者は、持ち出しやすく商品価値の高いもの(頭骨や歯、末節骨など)だけ拾って後は捨てて行くそうですから、亜成体や幼体は、成体に比べ盗掘されやすいと思うんですよね。

ゴビに比べて、北米のカンパニアンやマーストリヒチアンで大型獣脚類の幼体や小型獣脚類の全身骨格が見つかりにくいのは、ダスプレトサウルスやT-rexが好んで肉食恐竜の屍体を食べてた…なんて話は如何でしょう?「う〜ん、この臭みがたまらん!」とか言って…(笑)。
所 十三
2007/12/01 10:20
パソコン復活!!
ティラノサウルスの返答いただきありがとうございました。
よくわかりました。
所先生のブログで勉強させてもらいます。
kazu
2007/12/19 22:32
危険をおかす狩よりもより安全な強奪形に進化したT=rexは白亜紀の成功者であると先生はおっしゃりますが、よく考えれば確かにそうかもしれません。
 先日、親父とT=rexの狩について話しましたが、親父は「トリケラの角やアンキロのハンマーでやられると危ないし、アラモサウルスは大きすぎる。エドモントは足速いから追いつけない。じゃあ何食ってたかっちゅうとやっぱ死体だったろうな。」とか言っていました。
足立瑛彦
2007/12/22 12:25
転ぶと大怪我する、筋肉の量が走るには少なすぎる、というハンターとして究極とも言えるハンデを負っていたT-rexは死体の骨に含まれる骨髄を食うことで命をつなぎ、結果、体が巨大化したために他の肉食恐竜から獲物を奪ってそれを食うというライフスタイルになったのではないかという考えに、僕も変わりつつあります。T−rexは若い頃は足の速いエドモントを食い、おとなになると死体食、またはトリケラやアンキロ(あるいは家族でアラモス)を狩っていたと、ぼくは当初考えていましたが、もうこの考えは捨て去ったほうがいいですね。
足立瑛彦
2007/12/22 12:37
>kazuさん

ボクがお答えできることには限界がありますが。また何か疑問があれば遠慮なくどうぞ。


>足立くん

聞いた話ですが、ホッキョクグマがセイウチ狩りをする時、群れを驚かしてパニックを起こさせることがあるそうです。

パニックを起こしたセイウチ達が長い牙や重い体重でお互いを傷つけ合う形になって、大怪我をした個体が出て来る。それを後でゆっくり狩れば良い…というわけです。

この方法を使えば危険なトリケラトプスも狩ることができたかもしれませんね。

それにしても、恐竜の話につきあってくれるお父さんなんか、なかなかいないぞ。そんな良いお父さんを大事にしような。
所 十三
2007/12/26 13:35

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