金子隆一さんの影響力

前回は、名古屋でのポケモンショックの話題から始まって、先頃、祥伝社から出版された金子隆一さんの「知られざる日本の恐竜文化」という本について話が及んだのですが、その反響の大きさに驚いています。

板垣先生の『ピクル』の話題以来のヒット数。コメント欄にも数多くの意見が寄せられました。

もう今年の流行語大賞は「第一段階」で決まりですね!恐竜好きの間では…ですが(笑)。

コメント欄での返信でも触れましたが、話題になってる金子さんの意図をちょっと冷静に考えてみようと思いました。

読み方によっては、「半端な恐竜好き」=「第一段階」に対する絶縁状ともとれる内容ですが、果たしてあの金子さんがそんなことを言い出すだろうか?…と。

金子さんの本の読者の多くは間違いなくその「第一段階」であるはずです。「第二段階」以上の人なら海外の最新の論文さえ手に入れば良いのだから、なにも金子さんが本で紹介するのを待ってる必要は無い。

だとしたら、「第一段階」の相手に辟易した金子さんは、こと「恐竜」に関しては、今後は「第二段階」以上の同志達と一オタクとして楽しむことにして、恐竜ジャーナリズムからは一切足を洗うと宣言したんでしょうか?

たしかに『恐竜学最前線』や『ディノプレス』を廃刊に追い込むような読者には期待できないと諦めてしまった…ということも考えられないわけじゃない。

それだけではなく、この本の中だけでも、恐竜業界内にまた新たな敵を多少創ったかもしれないし、過去にも歯に衣着せぬ物言い(まさにここが金子さんの魅力なんだけど)が情報源や活躍の場を狭めてしまったであろうことも想像に難くない。こんな窮屈になった「恐竜業界」からはさっさとおさらばして、幅広いサイエンスジャーナリズムで勝負しよう!と判断されても不思議ではない。

じゃあこの本は死に行く恐竜ジャーナリズムを象徴する「イタチの最期っぺ」なのか?

いや、そうじゃないだろう。そんなことをしたら、あの本の中であれほど熱く語っていた井上さんの遺志に背くことになるじゃないか。

井上さんの死は、「第一段階」の読者に裏切られた結果…なんていう単純なものではないはずだ。…というより、井上さんがそれでもまだ「第一段階」を信じて、新しい恐竜雑誌を創ろうとスポンサーを探し出してきたその矢先、まさに道半ばにして倒れられたということは、当時スタッフ未満だったボクでさえ知っている事実だったんだから。

いろいろ考えましたが、今は金子さんに直接聞く度胸も無く、あの厳しい言葉は「第一段階」から「第二段階」に飛躍しようとしている人達、つまり金子さんの本を卒業しようとする「真の恐竜オタク」たちに対するエールであり、それ以上でもそれ以下でもない…と捉えることにしました。

だって恐竜好きに階級なんて無いと教えてくれたのが金子さん達だったんですから。「第二段階」の金子さん達が「上がり」の先生たちの仮説に堂々と異議を唱えるのを見て、ボクは恐竜の楽しさを知ったんです。

そして「第一段階」のくせに、金子さんの支持する「B.C.F理論」や「北米で繁栄し続けアラモサウルスに繋がったティタノサウルス類」を鵜呑みに出来ないボクがここにいるんですから。

だからこそ、こんな面白いものを子供のためだけの玩具にしておいて良いわけがない!いや!子供にこの面白さがわかるもんか!(わかる子供も確実にいます)…といった愚痴がこぼれるんです。一般的に恐竜は、怪獣と同等に扱われ、子供っぽいものとして捉えられてしまう現状が歯がゆくて。(コメント欄にも書いたとおり『ユタ』の単行本の売れ行きの悪さもその辺りに原因があるように思われ…。)


必要なのは「第一段階」と「第二段階」の壁を打ち破るのではなく、ある段階でこの「恐竜」と「怪獣」の間に壁を築くことだと思えてなりません。

この際、怪獣と恐竜の区別が明確につくようになることを「オトナになった証」と決めましょう!

まだまだボクは諦めませんよ。単行本が売れなくても打ち切られないほど熱心に支持してくれる読者の皆さんが居る限り!(アンケートではホントにお世話になってます…涙)

今は小学校低学年以下がメインの恐竜イベントの会場が、いつか、子供っぽいことを嫌う中高生までもが集い、それぞれの想像力を競い合う場となる日が来ることを。

そして、まだまだボクと同じ「第一段階」の彼らに、あいかわらずダメだしする金子隆一さんがそこにいることを…。






ついでだから、ここにもオマケの画像貼っておきますね。あ、何の「ついで」かわかりませんよね?前回分にも画像追加したんです。

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『恐竜大陸』の展示より。オメイサウルスの頭骨

気づかない方も多かったんですが、これは頭骨の内側です。歯を見ればわかるんですが、舌側面になっています。

金子さんの本でティタノサウルス類の歯に、スプーン型でも鉛筆型でもないものがあるという記述がありましたが、ティタノサウルス類に限らずこのオメイサウルスあたりの歯もどっちとも言えない形してますよね。

生え方はスプーン型タイプですが、先端があまりスプーンのように広がっていません。




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このシュノサウルスは典型的なスプーン型かな?歯根から先の歯冠部がぐっと広がっているのがわかります。




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『恐竜大陸』の展示より。ルーフェンゴサウルスの頭骨

これもジュラ紀前期の古竜脚類のはずなんですが、古竜脚類的な木の葉型の歯じゃなくて、パッと見ほとんどディプロドクスやアパトサウルスみたいな鉛筆型に見えませんか?ホントにこれってルーフェンゴサウルスなの?って訊きたくなります。




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こちらが典型的な古竜脚類プラテオサウルス

これだけピンぼけだと歯の形まではわかりませんね。


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ついでにプラテオサウルスの頭骨が造りたい造形家の方(日本に何人居るかわかりませんが…)のための角度。でもやっぱりピンぼけなんですよ。


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